ビジネス データ カタログ : 開発のシナリオ

ここでは、実際のビジネスの状況においてビジネス データ カタログを使用する場合の、一般的な開発のシナリオについて説明します。

メタデータを作成する

このセクションのシナリオでは、ビジネス データ カタログ ソリューションのメタデータを作成する方法を示します。

ビジネス データ カタログでビジネス データを表示する

このシナリオでは、ビジネス アナリスト、メタデータ作成者、および管理者という 3 つのロールがビジネス データ カタログを使用して、どのようにビジネス要件をビジネス アプリケーションに変換するかを説明します。

  • ビジネス アナリストはビジネス要件を定義し、それをメタデータ作成者に伝えます。

  • メタデータ作成者はこれらのビジネス要件を取り込んで、関連する基幹業務 (LOB) アプリケーション用のメタデータを作成し、必要なエンティティ、アクション、および関連付けを定義します。

  • メタデータ作成者は、SharePoint 3.0 Central Administration を使用してメタデータをインポートし、テスト環境でメタデータを十分にテストします。メタデータ作成者は、XML ファイルの形式になっているメタデータ パッケージを管理者に渡します。

  • 管理者はメタデータ パッケージをサーバーに展開し、セキュリティと認証の設定を構成します。

  • ビジネス アナリストは、ビジネス データ Web パーツやビジネス データの列などのビジネス データ機能を使用して、ポータル サイトにビジネス データを表示します。

メタデータの作成の例については、「AdventureWorks SQL Server 2000 のサンプル」を参照してください。

ビジネス データ検索を有効にする

このシナリオでは、ポータル サイト内で、Microsoft Office SharePoint Server 2007 の外部に配置されているビジネス データの検索を、どのようにすると有効にできるかを説明します。

メタデータ作成者は、ビジネス アナリストから受け取ったビジネス要件を使用してメタデータを作成するときに、エンティティ インスタンスの詳細を返す FindSpecific メソッド (SpecificFinder) と、検索可能にする必要がある各エンティティの ID (一意のキー) のリストを返す IDEnumerator メソッドも定義します。

この定義によって、IDEnumerator メソッドから ID が返されたエンティティのインデックス処理が可能になります。増分クロールを行う必要がある場合は、エンティティの IdEnumerator で返されるフィールドの 1 つが、LOB アプリケーションでそのエンティティ インスタンス (データベース用語では "行") が最後に更新された時刻を表すようにしておく必要もあります。さらに、最後に変更された日付を表す IDEnumerator の戻り値に含まれる TypeDescriptor の名前を使用して、エンティティの __BdcLastModifiedTimestamp プロパティを設定する必要があります。

メタデータ作成者がメタデータをテストした後で、管理者がメタデータをサーバーに展開し、ビジネス データ カタログのコンテンツ ソースを作成して、ビジネス データのインデックスを作成します。ビジネス データは、クロール ルールの実行後に検索で使用可能になります。

IDEnumerators を定義してビジネス データの検索を有効にする方法については、「AdventureWorks SQL Server 2000 のサンプル」を参照してください。

ポータル サイトからのビジネス データの編集を有効にする

このシナリオでは、ポータル サイトからのビジネス データの編集を有効にする方法について説明します。

注意

ポータル サイトからのビジネス データの編集を有効にする必要があるかどうかは、慎重に検討してください。エンタープライズ アプリケーション統合 (EAI) の真の価値は、手の届く複合アプリケーションとポータル サービスの中にあります。ポータル サイトは、1 つまたは複数の LOB アプリケーションへのアクセス ポイントとしてのみ使用してください。LOB アプリケーションのユーザー インターフェイスとビジネス ロジックを複製しても、時間の有効な使い方にならないことがあります。そのような場合には、LOB アプリケーション自体の使用を検討する必要があります。ただし、LOB アプリケーションのユーザー インターフェイスやビジネス ロジックでは不十分な場合や、ポータルのユーザーに一般的なデータを編集するためのショートカットをいくつか提供するだけの場合は、複製することを検討してもかまいません。

メタデータの作成者と開発者は、ポータル サイトからのビジネス データの編集を有効にするために使用できるオプションから、1 つを選択します。以下に、オプションの一部を示します。

  • ネイティブ アプリケーションのユーザー インターフェイスに結び付けるアクションを追加します。

  • Microsoft Office InfoPath フォームを開くアクションを追加し、そのフォームから、書き込み可能な Web サービスを使用して LOB アプリケーションにデータを書き込み直します。

  • メタデータ内に書き込み可能なメソッド (GenericInvoker 型の MethodInstance) を定義し、カスタム Web パーツからそのメソッドを呼び出します。この方法は、メタデータの既定値を適切に利用してバックエンド サーバーのメソッド呼び出しを簡素化する場合に特に便利です。

簡単なビジネス データ アクションのサンプルについては、「AdventureWorks SQL Server 2000 のサンプル」を参照してください。より複雑なサンプルは、この SDK の将来のリリースに収録される予定です。

ユーザー設定のアプリケーションを構築する

以下のシナリオでは、ビジネス データ カタログを使用してユーザー設定のアプリケーションを構築する方法について説明します。

カスタム Web パーツまたはコンソール アプリケーションを記述してビジネス データを表示する

Web パーツまたはコンソール アプリケーションでランタイム オブジェクト モデルを使用して、メタデータ データベースにクエリを実行し、バックエンド アプリケーションからのデータを表示することができます。ランタイム オブジェクト モデルを使用すると、メソッドを呼び出してページにビジネス データを表示できます。

たとえば、「[方法] ランタイム オブジェクト モデルの使用を開始する」を参照してください。

メタデータを作成して管理するためのツールを作成する

ビジネス データ カタログには、メタデータの作成、編集、および削除のために使用できる管理オブジェクト モデルが用意されています。管理オブジェクト モデルの主な目的は、メタデータの作成と管理を簡略化するツールを記述できるようにすることです。

管理オブジェクト モデルを使用すると、メタデータ管理用の Windows フォームや Web アプリケーションを作成できます。

管理オブジェクト モデルを使用してメタデータを操作することの例については、「[方法] 管理オブジェクト モデルの使用を開始する」を参照してください。

ユーザー プロファイルのプロパティにマッピングする

ビジネス データ カタログにより、ビジネス アプリケーションのデータをユーザー プロファイルに取り込むことができます。たとえば、ビジネス データ カタログに登録されている SAP アプリケーションや Siebel アプリケーションから、配偶者の名前や保険証番号をユーザー プロファイルに追加できます。

See Also

タスク

AdventureWorks SQL Server 2000 のサンプル

[方法] ランタイム オブジェクト モデルの使用を開始する

概念

ビジネス データ カタログ : メタデータ モデル

FAQ : ビジネス データ カタログ

ビジネス データ カタログ : 用語集