生産性の向上 : Rapid Application Development

更新 : 2007 年 11 月

初期のコンピュータ プログラミングでは、単純なプログラムであっても、完成までに数日または数週間を要することがありました。1991 年に Visual Basic が登場すると、プログラミングの世界に大変革がもたらされました。ユーザー インターフェイスを作成するためのコードを書いたり、メモリ管理に頭を悩ませたりする必要がなくなったのです。この新しいプログラミング方式は Rapid Application Development (RAD) と呼ばれました。

RAD プログラミングの最大のメリットは生産性の向上です。Visual Basic 2008 には、より優れたアプリケーションを従来よりも短時間で作成するのに役立つ機能が数多く備わっています。以下に示すのは、そうした機能の一部です。

ms233948.alert_note(ja-jp,VS.90).gifメモ :

Visual Basic Express Edition を使用している場合、インストール時に選択したオプションによっては、このページのヘルプ リンクの一部を利用できないことがあります。詳細については、「Visual Basic Express のトラブルシューティング」を参照してください。

コード スニペット

生産性を向上させる方法の 1 つは、同じコードを何回も書くのを避けることです。Visual Basic 2008 には、IntelliSense コード スニペットという、約 500 のコードから成るコード ライブラリが用意されており、自作のアプリケーションに挿入できるようになっています。各スニペットは、ファイルの作成、電子メール メッセージの送信、円の描画など、完全なプログラミング タスクを実行します。スニペットをソース コードに挿入するには、マウスを数回クリックするだけです。

スニペットを挿入すると、コードの中で置換が必要な部分が強調表示され、開発者は必要に応じて独自の値を入力できます。たとえば、フォーム上に線を描画するコード スニペットでは、色、位置、および線の長さを表す値を使用します。これらの値は、必要に応じて変更することもできるし、特に変更を加えずに既定値で線を描画することもできます。

また、必要に応じて独自のスニペットを作成してライブラリに追加し、後で必要なときにそれらを使用することもできます。独自のスニペットを作成するときには、コードのどの部分を強調表示するか、および既定値をどうするかを決定します。詳細については、「IntelliSense コード スニペットの作成と使用」を参照してください。

コード スニペットを使用して実現できる一般的なタスクの 1 つに、ファイルからのテキストの読み取りと書き込みがあります。次に示す手順は、コード スニペットで生産性を高める方法の例です。

やってみよう

コード スニペットを使用するには

  1. [ファイル] メニューの [新規作成] をポイントし、[プロジェクト] をクリックします。

  2. [新しいプロジェクト] ダイアログ ボックスの [テンプレート] ペインで、[Windows アプリケーション] をクリックします。

  3. [プロジェクト名] ボックスに「Snippets」と入力し、[OK] をクリックします。

    新しい Windows フォーム プロジェクトが開きます。

  4. フォームをダブルクリックしてコード エディタを開きます。

  5. コード エディタで、Form1_Load イベント ハンドラを右クリックし、ドロップダウン メニューの [スニペットの挿入] をクリックします。

    スニペットのカテゴリの一覧が表示されます。

  6. [ディスク、フォルダおよびファイルを処理中] をダブルクリックします。

    コード スニペットの一覧が表示されます。

  7. [テキストのファイルへの書き込み] をダブルクリックします。

    次のコードが挿入され、"C\Test.txt" と "Text" が強調表示されます。

    My.Computer.FileSystem.WriteAllText("C:\Test.txt", "Text", True)
    
    ms233948.alert_note(ja-jp,VS.90).gifメモ :

    ファイルが存在しない場合、WriteAllText メソッドによって作成されます。ファイルが既に存在する場合、その末尾にテキストが追加されます。

  8. "C\Test.txt" を "C\MySnippetTest.txt" に置き換え、"Text" を "This is really fast!" に置き換えます。

  9. 2 つ目のスニペットを追加します。右クリックして、メニューの [スニペットの挿入] をクリックします。

  10. [ディスク、フォルダおよびファイルを処理中] をダブルクリックします。

  11. [ファイルからのテキストの読み取り] をダブルクリックします。

    次のコードが挿入され、"C\Test.txt" が強調表示されます。

    Dim fileContents As String
    fileContents = My.Computer.FileSystem.ReadAllText("C:\Test.txt")
    
  12. "C\Test.txt" を "C\MySnippetTest.txt" に置き換えます。

  13. 最後のスニペットの下に次のコードを追加します。結果を表示するためのコードです。

    MsgBox(fileContents)
    
  14. F5 キーを押してプログラムを実行します。

    指定したテキストが記述されたファイルが作成され、ファイルの内容を示すメッセージ ボックスが表示されます。

ある程度の時間をかけて、Visual Basic に含まれているコード スニペットに慣れてください。これらは大きな時間の節約になり、コードを作成するときの無駄な工数をなくすことができます。詳細については、「方法 : コード スニペットを管理する」を参照してください。

My による開発

Visual Basic のもう 1 つの RAD 機能に、My というものがあります。My は、コンピュータ、アプリケーション、ユーザーなどに関連して一般的に使用される機能を持つオブジェクトの集まりです。My は、他の方法では余分なコードが必要な機能を簡単に利用するための、短縮ダイヤルのようなものです。

たとえば、自作のアプリケーションのバージョン番号を確認する必要があるとします。以前のバージョンの Visual Basic では、次のようなコードを使用しました。

Dim VersionNumber As String
VersionNumber = System.Diagnostics.FileVersionInfo.GetVersionInfo _ (System.Reflection.Assembly.GetExecutingAssembly.Location).FileVersion

新しい My.Application オブジェクトを使用すると、次のようなコードになります。

Dim VersionNumber As String
VersionNumber = My.Application.Info.Version.ToString

これを見るとわかるように、My を使用する方が、はるかに簡単で見つけやすいため、時間と手間を節約できます。以前の方法でバージョン番号を確認することもできますが、わざわざそうする必要はありません。

気付いているかもしれませんが、ここまでのいくつかのレッスンでも My を既に使用しています。次回、アプリケーション用のコードを入力するときには、「My」と入力し、表示される項目の一覧に目を通して、My オブジェクトについて調べてみてください。詳細については、「My による開発」を参照してください。

IntelliSense

レッスンの手順に従ってコードを入力するときにおそらく気付いたことと思いますが、コードを入力すると同時に、選択肢のドロップダウン リストがコード エディタに表示されます。これは、IntelliSense という機能の一例です。

IntelliSense には、言語リファレンスを容易に利用できるようにする、さまざまな機能が用意されています。コードを作成するときに、コード エディタを離れて言語要素についての情報を得る必要はありません。元の場所にいる状態で、必要な情報を探し、言語要素を直接コードに挿入して、IntelliSense で入力を補完できます。

IntelliSense はデバッグのときにも役立ちます。コード エディタで、コード内の変数の上にポインタを移動すると、その変数の現在の値がツールヒントで表示されます。IntelliSense は、[イミディエイト] ウィンドウでコードを入力するときにも利用できます。詳細については、「IntelliSense の使用方法」を参照してください。

次の手順

このレッスンでは、Visual Basic の生産性に関連する機能について説明しました。Visual Basic には他にも多数の機能があり、Rapid Application Development に最適なツールとなっています。このような機能のごく一部について、以下にリンクを掲載しています。

次のレッスンでは、Visual Basic 2008 で実現できる意外な機能のいくつかについて説明します。

次のレッスン : 「ヒント : 知られていない方法

参照

概念

さらに上のステップへ : 次の学習

Visual Basic Express での操作方法

その他の技術情報

プログラムの配布

Visual Basic ガイド ツアー