開発環境のインストール

Microsoft Visual Studio 開発環境を利用すると、SQL Server Compact を使用するアプリケーションを開発できます。Visual Studio は、SQL Server Compact 3.5 を使用するアプリケーションの開発と配置を行うための最も簡単な方法です。Visual Studio では、Visual C# または Visual Basic を使用して、マネージ アプリケーションを作成できます。 Visual C++ オプション (以前は Microsoft eMbedded Visual C++ 4.0 と呼ばれていました) を使用して、デスクトップ コンピューターおよびデバイス用のネイティブ アプリケーションを作成することもできます。Visual C++ は、Visual Studio 2008 以降のバージョンでサポートされています。

注意

Microsoft eMbedded Visual Basic は、SQL Server Compact 3.5 以降のバージョンではサポートされません。

SQL Server Compact 3.5 用のアプリケーションを開発するには、Visual Studio 2008 以降のバージョンを使用できます。

  • Visual Studio 2010 は、デスクトップ アプリケーションの開発に適しています。これは、Visual Studio 2010 が SQL Server Compact データベース上の Transact-SQL エディターのサポートなど新しい開発機能をサポートしているためです。Visual Studio 2008 または Visual Studio 2008 Service Pack 1 (SP1) を使用すると、SQL Server Compact 3.5 用のデスクトップ アプリケーションを開発できますが、Visual Studio 2010 の新しい開発機能は使用できません。

  • Visual Studio 2008 Service Pack 1 (SP1) は、スマート デバイス アプリケーションの開発に適しています。これは、Visual Studio 2010 がスマート デバイス アプリケーションの開発をサポートしていないためです。

Visual Studio 2010 と Visual Studio 2008 SP1 は、同じコンピューター上にサイドバイサイドでインストールし、実行できます。

Visual Studio のファイルの場所と説明

次の表は、Visual Studio 2008 または Visual Studio 2010 を使用する際に開発用コンピューターにインストールされる SQL Server Compact 3.5 ファイルを場所ごとに示しています。これらのファイルおよびフォルダーは、既定では次の場所に作成されます。

  • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio 9.0 for Visual Studio 2008.

  • %ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio 10.0 for Visual Studio 2010

  • %ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\ for SQL Server Compact 3.5.

ディレクトリ

コンテンツ

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5

デスクトップ コンピュータ用の SQL Server Compact 3.5 DLL である、sqlcecompact35.dll、sqlceca35.dll、sqlceme35.dll、sqlceoledb35.dll、sqlceqp35.dll、および sqlcese35.dll。エラーの説明を提供する DLL の sqlceer35<lang>.dll もこのフォルダにインストールされます。このエラー説明用 DLL の名前には、EN、FR などのように、言語ごとに異なる 2 文字のサフィックスが含まれています。このフォルダーには、Readme ファイル、使用許諾契約書、Redist_<lang>.txt なども含まれています。 このフォルダーには、SQL Server Compact 3.5 Entity Framework 用のマネージ プロバイダー (System.Data.SqlServerCe.Entity.dll) も含まれています。 これが、グローバル アセンブリ キャッシュ (GAC) にインストールされているバージョンです。SQL Server Compact を中心に配置するデスクトップ アプリケーションの構築時、またはデバイス アプリケーションの構築時には、このバージョンのエンティティ フレームワーク プロバイダーを使用してください。SQL Server Compact 3.5 SP2 以降で、SQL Server Compact をプライベートに配置するデスクトップ アプリケーション用には、%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Private にあるバージョンのプロバイダーを使用してください。

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Desktop

SQL Server Compact 3.5 for Desktop 用のマネージ プロバイダーである System.Data.SqlServerCe.dll。SQL Server Compact 3.5 SP2 以降、このフォルダーには、SQL Server Compact の中心配置を使用するデスクトップ アプリケーションの構築時に使用するためのマネージ プロバイダーのバージョンが含まれています。これが、GAC にインストールされているバージョンです。SQL Server Compact 3.5 SP2 以降で、SQL Server Compact をプライベートに配置するデスクトップ アプリケーション用には、%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Private にあるバージョンのプロバイダーを使用してください。

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Private

SQL Server Compact 3.5 for Desktop 用のマネージ プロバイダー (System.Data.SqlServerCe.dll) および SQL Server Compact 3.5 Entity Framework 用のマネージ プロバイダー (System.Data.SqlServerCe.Entity.dll)。このフォルダーは、SQL Server Compact 3.5 SP2 で導入されました。このフォルダーには、SQL Server Compact のプライベート配置を使用するデスクトップ アプリケーションの構築時に使用するためのこれらのプロバイダーのバージョンが含まれています。

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Devices

SQL Server Compact 3.5 for Devices 用のマネージ プロバイダーである System.Data.SqlServerCe.dll。このフォルダーには、デバイス アプリケーションの構築時に使用するためのマネージ プロバイダーのバージョンが含まれています。 このバージョンのマネージ プロバイダーは、SQL Server Compact をデバイスの中心に配置するか、プライベートに配置するかにかかわらず使用されます。 

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Sync\SQL

SQL Server と SQL Server Compact 3.5 の間でデータをレプリケートする SQL Server Compact 3.5 サーバー ツールの DLL である sqlcesa35.dll、sqlcerp35.dll、および ConnWiz.exe。このフォルダには、SQL Server Compact 3.5 サーバー ツールの使用許諾契約書のファイルも含まれています。

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\<lang>

マネージ プロバイダのローカライズされたリソースである System.Data.SqlServerCe.resources.dll。

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Devices\platform\processor

一連のサブフォルダ。各フォルダに含まれるファイルを以下に示します。

sqlce.platform.processor.cab

sqlce.platform.processor.cab ファイルには、sqlcese35.dll、sqlceqp35.dll、sqlceme35.dll、および System.Data.SqlServerCe.dll が含まれています。

sqlce.repl.platform.processor.cab

sqlce.repl.platform.processor.cab ファイルには、sqlceca35.dll、sqlceoledb35.dll、および sqlcecompact35.dll が含まれています。

sqlce.dev.lang.platform.processor.cab。sqlce.dev.lang.platform.processor.cab ファイルには、SQL Server Compact 3.5 クエリ アナライザを実装するプログラムである isqlw35.exe と、開発に役立つエラーの説明を提供する sqlceerr35lang.dll が含まれます。

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Devices\Client

SQL Server Compact 3.5 を使用せずにモバイル デバイスから直接 SQL Server に接続するために使用する System.Data.SqlClient.dll。SQL Server Compact 3.5 をモバイル デバイスに配置するための CAB ファイルである sql.[platform].[processor].cab と sql.dev.[platform].[processor].cab。これらの CAB ファイルの配置先は、%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Devicesplatform\processor フォルダです。

注意

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Devices\wce500 フォルダの CAB ファイルおよび DLL ファイルは、Windows CE 6.0 および Windows Mobile 6.0 デバイスに SQL Server Compact 3.5 をインストールするときにも使用されます。

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Include

SQL Server Compact 3.5 のネイティブ ヘッダー ファイル (sqlce_sync.h、sqlce_err.h、および sqlce_oledb.h)。

%ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio 9.0\SDK\v3.5\Bootstrapper\Packages\SQL Server Compact Edition\

または

%ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio 10.0\SDK\v3.5\Bootstrapper\Packages\SQL Server Compact Edition\

Visual Studio の ClickOnce 機能を使用してデスクトップ コンピュータに SQL Server Compact 3.5 を配置するための SQL Server Compact 3.5 のファイルを含む一連のフォルダ。

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Samples

サンプル データベースである Northwind.sdf が含まれます。また、SQL Server Compact 3.5 SP1 サンプルの MSI によってインストールされるサンプルである NorthwindOLEDB および IBuySpy も含まれます。

%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Tools

SQL Server Management Studio で SQL Server Compact データベースを管理するために使用される DLL が含まれます。これらの DLL は SQL Server Compact 3.5 クエリ ツールの MSI によってインストールされます。

ファイルは以下のとおりです。

Microsoft.SqlServerCe.Client.dll、Microsoft.SqlServerCe.Enumerator.dll、Microsoft.SqlServerCe.ManagementUI.dll、Microsoft.SqlServerCe.ReplWiz.dll、および ConnWiz.exe。

%ProgramFiles%\Microsoft Synchronization Services\ADO.NET\v1.0\

Sync Services for ADO.NET 用の DLL。

Microsoft.Synchronization.Data.Server.dll、Microsoft.Synchronization.Data.dll、Microsoft.Synchronization.Data.SqlServerCe.dll、および ReadMeSSC35.htm。

64 ビット コンポーネントの詳細については、「64 ビット データベース アプリケーションの管理」を参照してください。

マネージ アプリケーションの開発

デバイス アプリケーションの場合、Microsoft.NET Compact Framework アプリケーションで、System.Data.SqlServerCe名前空間への参照を追加します。.NET Compact Framework では、System.Data.SqlServerCe 名前空間が SQL Server Compact 3.5 を公開します。その後、データベース、データベースのテーブルと列を作成して、データベースにデータを追加できます。スマート デバイス用に SQL Server Compact 3.5 を使用するマネージ アプリケーションの構築の詳細については、「スマート デバイス アプリケーションの構築 (SQL Server Compact)」を参照してください。

アプリケーションを構築し、Visual Studio からスマート デバイスや Pocket PC エミュレーターに配置すると、Visual Studio により、デバイスに .NET Compact Framework と SQL Server Compact 3.5 のクライアント コンポーネントがインストールされているかどうかが自動的に確認されます。これらのコンポーネントが検出されなかった場合、Visual Studio から SQL Server Compact 3.5 を使用した任意のアプリケーション ビルドを初めて配置する際にデバイスに自動的にインストールされます。 

モバイル デバイスに Visual Studio からマネージ アプリケーションを配置するには、[デバッグ] メニューの [デバッグ開始] をクリックします。次に、接続先スマート デバイスと Pocket PC エミュレータのどちらに配置するかを指定します。デバイス上での、既定のインストールの場所は %ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5 です。

デスクトップ アプリケーションの場合、Microsoft.NET Framework アプリケーションで、System.Data.SqlServerCe 名前空間への参照を追加します。.NET Framework では、System.Data.SqlServerCe 名前空間が SQL Server Compact 3.5 を公開します。その後、データベース、データベースのテーブルと列を作成して、データベースにデータを追加できます。 System.Data.SqlServerCe 名前空間への参照の追加方法は、SQL Server Compact 3.5 のプライベート配置と中心配置のどちらを使用するようにアプリケーションを構築するかによって異なります。

  • 配置先のコンピューターで中心に配置された SQL Server Compact 3.5 を使用するようにアプリケーションを構築している場合、[参照の追加] ダイアログ ボックスの [.NET] タブから参照を追加します。

  • アプリケーションと共にプライベートに配置された SQL Server Compact 3.5 のバージョンを使用するようにアプリケーションを構築している場合、[参照の追加] ダイアログ ボックスの [参照] タブをクリックし、%ProgramFiles%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Private フォルダーに移動して参照を追加します。 

デスクトップ用に SQL Server Compact 3.5 を使用するマネージ アプリケーションの構築の詳細については、「デスクトップ用アプリケーションの構築 (SQL Server Compact)」を参照してください。 

マネージ アプリケーションを Visual Studio からデスクトップに配置するには、[デバッグ] メニューの [デバッグ開始] をクリックします。Visual Studio のある SQL Server Compact 3.5 がインストールされ、アプリケーションの配置前に開発用コンピューターにインストールする必要がなくなります。

また、.NET Compact Framework および .NET Framework には、SQL Server 2005 以降のバージョンのデータベースに直接アクセスするアプリケーションの開発で使用する System.Data.SqlClient 名前空間も含まれています。

ClickOnce 配置によるマネージ アプリケーションの配置

ClickOnce は、SQL Server Compact 3.5 でサポートされる新しいソフトウェア インストール技術で、デスクトップ コンピュータにマネージ アプリケーションを配置するために使用します。ClickOnce を使用すると、Windows ベースのアプリケーションを Web サーバーやネットワーク上のファイル共有に容易に配置できるようになります。管理者は、サーバー上のファイルを更新するだけでアプリケーションを配置または更新できます。クライアントごとに更新を行う必要はありません。Visual Studio 2008 では、ClickOnce によって配置されたアプリケーションのパブリッシュや更新が完全にサポートされます。ClickOnce 配置は、Visual Basic、Visual C#、および Visual J# によって作成されたプロジェクトでは使用できますが、Visual C++ では使用できません。

Visual C++ によるネイティブ デバイス アプリケーションの開発

Visual C++ は、SQL Server Compact 3.5 を使用するネイティブ アプリケーションの開発に利用できる Visual Studio のオプションです。

Visual C++ を使用して SQL Server Compact 3.5 アプリケーションを開発する際は、空の Visual C++ プロジェクトを作成し、そのプロジェクトに SQL Server Compact 3.5 を含めます。この操作を実行するには、[プロジェクト] メニューの [ファイルの追加] をクリックし、sqlce_sync.h、sqlce_err.h、および sqlce_oledb.h をプロジェクトに追加します。

Visual C++ を使用してネイティブ アプリケーションを開発する際は、SQL Server Compact 3.5 をスマート デバイスに手動でコピーする必要があります。詳細については、「デバイスへのインストールと配置 (SQL Server Compact)」を参照してください。 SQL Server Compact 3.5 インストーラ (SSCERuntime-ENU.msi) を使用すると、SQL Server Compact 3.5 をデスクトップ コンピュータに配置できます。

関連項目

その他の技術情報

デバイスに SQL Server Compact をインストールする方法

アプリケーションの配置 (SQL Server Compact)

マネージ アプリケーションの構築 (SQL Server Compact)

ネイティブ アプリケーションの構築 (SQL Server Compact)